国民皆歯科健診 導入か? 歯周病 から考える体の健康

国民皆歯科健診 導入か? 歯周病 から考える体の健康

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

国民皆歯科健診 を導入しようかと政府が検討しているとのことです。
これは健保組合などが毎年行う健康診断の際に、「唾液を提出」してもらい、検査の結果、「歯周病に罹患している可能性がある方の受診を促す」というような健診が予定されています。つまり 歯周病 から他の病気の誘発を予防しようという考えです。

この歯科健診が現実のものとなった場合、どのようなことが予想されるでしょうか。おそらく、健康診断の後に、歯科医院を受診される方が一気に増える事が予想されます。すると、いざ歯が痛くなったり、歯茎が腫れてしまった時にかかりつけの歯科医院に連絡をいれても「予約が取りづらくなる可能性が高くなる」ことが考えられます。また、歯科治療は普通、時間や回数がかかるので、治療完了までも予定より日数がかかるかもしれません。

また、中には歯の状態が悪かったり、歯科が恐くて受診する気にならないという方もいらっしゃるかと思います。当院では過去記事でも示すように、歯科治療を諦めかけている方でも安心して受けられる All-on-4 という治療を専門的に行っております。

今回はこの国民皆歯科健診の記事をもとに、過去記事でも触れておりました健康な歯を残すことの重要性、歯周病と他の病気との関連性、 All-on-4 のメリットについても改めて記載させて頂こうと思います。併せて改めて過去記事にも目を通して頂けましたら幸いです。

健康な歯を残すことの重要性

健康な歯の維持
図1:日々のメンテナンスが重要

健康な歯、特にご自身が持って生まれた歯=天然歯に匹敵するものはないと言われています。しかし、どんな健康な歯でも、ご自身の管理次第で「虫歯」や「歯周病」になってしまいます。なので、天然歯を健康な状態で残すために、日々のケアや治療が重要となってきます。

ここで注意しなければならないのは、不健康な状態になった歯を無理やり残すことです。天然歯は健康な状態であれば、それに匹敵する歯はありませんが、病的な状態となると話は別です。

歯周病 で 歯がぐらつく ような口腔内の側面観
図2:病的な状態(重度歯周病)の歯は菌をばらまく

図2を見てみましょう。歯茎は下がり、歯の根が見えてきています。 こうなってしまいますと 、歯の周りに骨がない状態となるため、歯はぐらぐら揺れてしまい不安定になります。このような歯も最初は健康な天然歯だったのです。

不健康な状態の歯を無理やり残すと、「虫歯菌」「歯周病菌」は口腔内すべてに広がり、全部の歯をボロボロ・ぐらぐらにすることもあります。さらに、その状態で食事をすることで菌を体の中に取り込むことになるのです。このことにより、さまざまな病気を引き起こす要因となることが知られています。

低く推移する歯周病検診の受診率

受診率が低い、1割未満
図3:歯周病検診の受診率は低い

みなさんは歯科健診に行かれたことはありますか?特に歯の痛みや腫れがなくても、10年くらい歯科医院を受診しないと不安になりますよね。でも、中には忙しさを理由にして、歯科医院を避けている方も少なくないと思います。やはり、歯の痛みや腫れなど、きっかけがないと、歯科医院への通院は避けがちになってしまいます。定期健診としてメンテナンスに通っている方は別ですが。

全国の約7割の自治体では、40歳から10年 に1度、健康増進法に基づく歯周病対策の検診なども実施しているようです。しかしながら、その受診率は1割にも満たないとのことです。つまり、かなり多くの方が自己判断で自身のお口の状態を「大丈夫」と評価して、受診していないということになります。

しかし、違う見方をすると、患者さん自身の「自分の口元や歯は痛くないし食べられるから大丈夫」という判断が間違っている場合もあると思います。すなわち、歯周病がかなり進行しているかもしれないのです。この歯周病検診の受診率が増加する事で歯の喪失を未然に防止できる可能性が高くなるかもしれません。

ルートプレーニング
図4:ルートプレーニングは縁下歯石を除去する

それでは、実際に歯科健診を受診するとどのようなことを歯科医院から提案されるのでしょうか。患者さんによっては「歯周病は問題ない・コントロールできている」と言われる場合もあれば、「歯石があるので歯石取りだけしましょう」と言われる場合もあります。歯石は縁上歯石と縁下歯石があり、縁上歯石は歯ぐきの上方にある黄色い歯石で超音波の器具で除去は容易ですが、縁下歯石は歯ぐきの縁より下方にある黒い歯石です。図4を見てみましょう。歯ぐきと歯根の間の見えない箇所に歯石が付着します。深い箇所になるので痛くないように麻酔をした後に、鋭匙(えいひ)型スケーラーを用いて歯根表面の汚れと歯石をこさぎながら除去します。

軽度〜中等度の歯周病の治療法とは

歯を抜かない で治せる? 歯を抜かない 歯周病 の 治療法 より引用

歯周病を放置すると糖尿病になる?

糖尿病、合併症
図5:歯周病と糖尿病の因果関係

それでは、歯科健診に行かないまま、歯周病を放置するとどうなるのでしょうか。歯周病は、軽度・中等度・重度とステージがあります。ステージに適した治療をしていかなくてはなりません。しかし、歯科医院への受診がないままだと、気づかないうちに、重度の歯周病までステージが進んでしまうこともあります。

歯周病 にはステージがある?

重度 の 歯周病 で 歯を残す 場合の メリット と デメリット より引用

歯周病を放置すると、歯周病菌から放出される内毒素が体全身に周り、体のホルモンバランスが崩れることで糖尿病が悪化します。さらに、糖尿病が悪化すると、歯周病に対する抵抗力が落ちます。すると、悪循環となり、さらに歯周病が進行することになります。したがって、歯が痛くないからと歯科健診にも行かずに、歯周病を放置したままにすることは、あまりいいこととは言えないのです。

歯周病菌の内毒素により糖尿病の症状が悪化

歯周病 と アルツハイマー の関連性 より引用

歯周病を予防するということ

健康 維持
図6:歯周病予防は健康につながる

それでは、歯周病を予防することの意味は何でしょうか。まずは、歯の動揺や喪失を未然に防ぐこととなります。上記までで述べたように、歯周病菌の広がりを抑制することで、歯周病菌と関連するその他の病気への影響を軽減することができます。もっと根本的なところに着目すると、歯が普通にあることで食事がしやすくなります。食事を摂るということは当たり前のことであるが故に意識されにくいですが、歯を失って初めて「食べられることの重要性」に気づいたとお話しされた患者さんもいました。

「歯があるということ」は物心つくころから当たり前になってしまい、その重要性はどうしても軽視されがちかもしれません。みなさんのかけがえのない大事な人生ですが、それを支えるのは健康な体。そして、その健康な体を作るのは、お口から栄養を摂るために必要不可欠なとなる健康な歯となります。

健康な身体(4億円超の価値)というものを維持するために

数字で見る 歯 の 資産価値 より引用

重度歯周病の治療:オールオン4

オールオンフォー 仮歯 プロビ
図7:オールオン4 – 1日で重度歯周病が治る

歯周病は軽度・中等度・重度とステージがありますが、重度の歯周病となると、治療法は抜歯となることが多いです。抜歯をしてしまうと、歯を作る必要があります。特に、重度歯周病で歯を抜く場合、多くの方が多数歯抜歯となる方が多いです。重度歯周病の場合、お口全体に歯周病菌が広がり、ほとんどの歯がぐらぐらになってしまうためです。多数歯抜歯をすると、歯がほとんどなくなるため、「見た目が悪い、食事ができない」という問題が出てきます。

オールオン4 は、
1. 歯の抜歯
2. 4本のインプラント
3. 12本分の歯
を2時間ほどの処置で行います。

図7を見てみましょう。オールオンフォーという治療の当日の写真になります。手術日にぐらぐらの歯がきれいに揃った歯になるだけではなく、「見た目がよい、食事ができる」という状態で帰宅が可能となります。さらに、重度歯周病を根治することが可能です。

歯周病で歯がボロボロやぐらぐらや、喪失歯が多い状態の口元でも、歯周病が治り、歯も入り、咬めるようになる−そんな夢のような治療であるAll-on-4はこの問題にうってつけの治療法なのかもしれません。しかも歯が入るのは1日です。

歯周病が治るだけでなく、身体の病気の状態も良くなり、医療費の抑制も可能です。これらの事を考慮すると、All-on-4 はこれら諸所の問題を一気に解決できる鍵を握っているのかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「国民皆歯科健診 導入か? 歯周病 から考える体の健康」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • All-on-4 ザイゴマクリニック開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事

専門

  • All-on-4 ザイゴマインプラント専門医
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

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