40代 歯がボロボロ インプラント の セカンドオピニオン ③

40代 歯がボロボロ インプラント の セカンドオピニオン ③

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

40代 や50代で 歯がボロボロ になってしまっている場合、どのような治療が行われているのでしょうか。歯がボロボロになってしまったのは理由があります。その症状によっては、治療を断られたり、望んでいない治療を提案されることもあります。そのような場合、セカンドオピニオン (他の歯科医師の見解) を聞いてみるというのはとても大事なことだと思います。

「すぐに全部の歯を作ることはできますか?」
「歯周病で骨がないと大学病院でいわれました。」
「他院でインプラントは難しいといわれました。」
上記のように セカンドオピニオン を目的に当院に相談に来られる方が沢山います。

歯科医師は多くいますが、その培ってきた経験によって、治療のゴールへアプローチが異なることはよくあります。例えば、口腔外科の歯科医師と歯周病科の歯科医師では、歯・歯ぐき・骨・顎と重視しているポイントが異なります。従って、歯周病科の先生のところで失敗したようなトラブルケースが当院に来られることは少なくないのが実際です。

この記事では、インプラントのセカンドオピニオンのシリーズその③として実際に当院で治療を受けられた渡部譲(仮名)さんの話にフォーカスしてみたいと思います。

  人物紹介:大多和 徳人

 歯科医師。All-on-4 ザイゴマインプラントの可能性を追求している。

  人物紹介:渡部 譲

 40代 男性 自営業 上顎ザイゴマインプラント 施術。

「歯を全部抜いて入れ歯」を提案された。

インプラント の セカンドオピニオン その② より引用

相談③:上の前歯の差し歯が外れた。他院の治療法がわからなかった。

図1:術前の口腔内の正面観と咬合面観

渡部さんは春頃に上の差し歯がまとめて外れてしまったとのことでした。他院を受診したところ、

・上の歯は全部抜歯が必要
・まずは入れ歯しか治療法がない
・1年間は骨ができるのを待つ
・顎の中に大きな病巣次第かも

という説明を受けたそうです。自身としては、前歯の治療相談をしたのに、他院では「入れ歯が当たり前」と言われ、全体的なインプラントで治療していくのは難しいと言われました。

しかし、ネットで検索すると、全体的なインプラントになると「オールオン4」という治療があることを知りました。オールオン4 を専門的に扱っている当院(オールオン4 ザイゴマクリニック)にて治療相談をすることになりました。

疑問:歯がボロボロ でも オールオン4 はできるのか?

大多和院長、初めまして。先日、前歯の差し歯が取れて噛むことが出来なくなりました。仕事が忙しくて歯科医院にも行けず、気づいたら歯がボロボロに…。私のようなボロボロの歯でもオールオン4の治療は可能ですか?

渡部さん、こんにちは。おおたわ歯科オールオン4 ザイゴマクリニックの院長 大多和です。はい。当院ではかなり重度の虫歯や歯周病でもオールオン4 の治療は可能です。ただ、渡部さんは鼻の下に「嚢胞」ができていますので少し工夫が必要です。

図2:術前パノラマレントゲン写真 

嚢胞?ですか。他院でインプラントは難しいと言われました。痛みはそんなにないですが、腫れぼったさはありますね。そういえば、最近、鼻詰まりもあります。何か関係しているのですか?

おそらく歯根嚢胞ができています。差し歯の治療後に自覚のないまま大きくなってしまうことがあります。なので、インプラントやオールオン4 を希望となると、嚢胞摘出は必須となります。

歯根嚢胞とは?

歯根嚢胞
図3:術前CTの冠状面と矢状面の断面画像

病状:歯根嚢胞とは、差し歯の治療後に生じることが多い。差し歯の治療では神経をさわるため、その影響が歯根の尖端に波及し、袋状の空洞ができる病変。袋の中に液体や半液体状のものが溜まり、少しずつ大きくなる。
症状:軽度の方は、痛みはなくレントゲン写真で発見されることが多い。重度の方は、上顎では鼻水や頭痛などの症状が出ることがある。
治療:軽度の場合は、歯根の再根管治療を行うことで症状の軽快を図る。中等度の場合は歯根の先を切断(歯根端切除術)したり抜歯を行い、一期的に嚢胞の摘出を図る。重度となり、サイズが大きすぎる場合は長期間かけてサイズを小さく(開窓術)したりして摘出を図ることもある。

では私の場合、上の歯は全部抜歯となると、一般的な治療では嚢胞摘出と抜歯後に1年間くらいは総入れ歯になるということですか!?
それは困ります。しかも、普通のインプラントも、わたしの骨の治り方次第では厳しいということですか?

ただ、CTを確認すると、渡部さんの上顎洞は、炎症所見を示していますが、嚢胞や顎骨と明らかな交通(図3の緑と赤の接点)はありませんでした。なので、ザイゴマインプラントを上顎洞の外から頬骨にアプローチすれば治療が可能と考えられます。

つまり、入れ歯はしないで、オールオン4 (ザイゴマインプラント)ができる。しかも、1日で歯は入るし、鼻の症状も治ると考えていいのですか?

はい。今回は、4本のザイゴマインプラントだけでオールオン4 を構成する、EZ4 (Extra maxillo Zygomatic all-on-4) となります。鼻の症状も改善すると考えていただいて大丈夫です。

比較: オールオン4 と 総インプラント

比較 検証
図4:当院と他院との治療の流れの比較

渡部さんは当院ALL ON 4 ZYGOMA CLINICでの治療が可能ということがわかりましたので、治療を比較検討していただきました。

オールオン4 ザイゴマ総インプラント
仮歯まで1日入れ歯
本歯まで3ヶ月3年
嚢胞の治療同時半年以上
鼻症状EZ4なら治る経過次第
手術再現性高い低い
長期予後良い経過次第
審美性高い低い
費用割安割高

仮歯までについて

オールオン4はどんな症例でも手術日当日に12本分の仮歯が入ります。普通のオールオン4で1.5時間、ザイゴマインプラントを使用しても2時間ほどで手術は終わります。総インプラントの場合、この症例では嚢胞がかなり大きいため仮歯というより入れ歯になります。

本歯までについて

オールオン4は4本のインプラント全てを強固に骨に埋め込みます。基本的に3ヶ月後には美しく壊れない本歯が入ります。骨が柔らかすぎる方の場合、6ヶ月後になることもあります。総インプラントの場合、全体をまとめて治療ができません。また、嚢胞がかなり大きいため、骨が十分できるのもかなり時間がかかります。

嚢胞の治療について

今回は、嚢胞の部位と頬骨(ザイゴマインプラントが入る部位)が完全にわかれていたため、嚢胞の治療は同時にできました。嚢胞の袋の取り残しがないよう配慮し、顎骨の形成を促します。これとオールオン4の治療は並行して可能となります。総インプラントの場合、まず、嚢胞の治療からとなります。嚢胞を小さくするのか摘出するのかにもよりますが、これだけで半年から2年はかかります。

鼻症状について

EZ4 コンセプトでは、ザイゴマインプラントの施術を上顎洞(副鼻腔の1つ)の外側において、鼻症状とは関係なく頬骨を狙うことが可能です。並行して別部位の嚢胞を摘出するので鼻症状は改善すると考えられます。総インプラントの場合、まず嚢胞の摘出となります。また、後のインプラントも考慮して骨を作らなければなりません。骨の治癒経過次第では鼻の症状が続くことも考えられます。

手術再現性について

オールオン4 ザイゴマインプラントは硬い骨を狙います。嚢胞で失われた顎骨が治療に関係ないため、手術の再現性は非常に高いです。総インプラントの場合、自身の骨の再生と深く関与します。骨が再生されない場合、骨造成がうまくいかない場合はインプラント治療はできません。手術の再現性は低いといえます。

長期予後について

ザイゴマインプラントは虫歯・歯周病から完全に解放されます。また、EZ4コンセプトで治療される場合、上顎洞炎のリスクも低くなり、長期予後も良いです。総インプラントの場合、大規模な骨造成部位もあるため、この骨の治癒具合やインプラントと再生骨の治癒経過次第では長期予後は読めない点もあります。

審美性について

EZ4 による治療はザイゴマインプラントだけとなり、かなり審美性の高い設計が可能になります。骨の大規模欠損があるケースでは、しっかり唇に膨らみを出る設計が必要となりますが、ザイゴマインプラントなら可能となります。総インプラントの場合、このようなケースで審美性を重視すると、インプラント周囲炎になるリスクが高くなります。また、歯と歯茎を左右対称かつ立体的に作るのが難しくなります。

費用について

EZ4 の場合、オールオン4の治療にザイゴマインプラント4本分の費用が追加でかかりますが、それでも割安な治療費となります。総インプラントの場合、嚢胞摘出・骨造成・インプラントと治療オプションやその部位、回数が多くなり割高な治療費は避けられないです。

説明ありがとうございます。わたしのボロボロの歯を入れ歯のような付け外しではなく、固定式のしっかりした歯に治すためには選択肢が少ないということがわかりました。大多和先生の所で治療を受けたいです。

はい。従来法では時間や費用がかかるだけでなく再現性が低いと考えます。当院ではザイゴマインプラントをEZ4コンセプトで施術しますので、最適なオールオン4 の提案が可能です。

実際: オールオン4 ザイゴマ の治療を受けてみて

EZ4
図5:オールオン4 ザイゴマインプラント術後

渡部さんの治療計画
・上顎の歯の抜歯
・嚢胞の摘出
・Extra Maxillo Zygomatic All-on-4 ™ (EZ4)
・本歯 ジルコニアブリッジ

後日、渡部さんは当院にて オールオン4ザイゴマ の治療を受けられました。同時に右上の顎骨内にあった歯根嚢胞も摘出しています。手術日当日に仮歯(プロビジョナル)も装着し、3ヶ月後に本歯(ジルコニアブリッジ)を装着しました。術後、1年経過しましたのでお話を聞かせていただきました。

渡部さん、こんにちは。術後1年の定期検診ですが、最近の歯の調子はいかがですか?お鼻の症状なども教えてください。

大多和先生、こんにちは。はい。至って順調です。鼻の症状も快適です。これは、術後から明らかに良くなったのを覚えています。これはどうしてですか?

図6:手術後当日のパノラマレントゲン写真

では、術直後の写真(図6)をお見せしますね。赤線の部位から直径3cm弱の歯根嚢胞を摘出しました。CTで確認した通り上顎洞と交通しておらず、嚢胞がなくなったことで鼻の症状が軽快したのだと思います。

嚢胞が影響して上顎洞に炎症が波及し鼻詰まりがあったものが、嚢胞がなくなったことで治ったということですか?でも、嚢胞のあった部位はどうなっているのですか?

嚢胞摘出 オールオン4
図7:術前の嚢胞(赤丸)術後の顎骨(青丸)

図7の赤丸が歯根嚢胞です。青丸が術後1年のレントゲンですが、嚢胞のあった部位にはご自身の骨がしっかりできています。本歯(ジルコニアブリッジ)の調子はどうですか?

図8:本歯(ジルコニアブリッジ)の正面観と咬合面観

最高です!!
術後に仮歯が入り、とても満足していました。しかし、本歯は全然違いますね!まず、厚みが薄いです。あと、ツルツルで汚れが付かないですね。

そうですね。今回は上顎だけのオールオン4 でしたが、下顎との噛み合わせも考慮した設計で提案しました。フルジルコニアなのでとても衛生的と思います。これからは定期健診にて口腔内の良い環境を維持し健康的な生活を楽しみましょう。

過去の自分の歯や被せ物より断然、綺麗な歯が入りました。とても嬉しいです。また、オールオン4の治療後は、過去の歯の悩みもなくなり満足しています。
手術の当日は不安で緊張もありましたが、院長はじめスタッフの対応に緊張が和らぎました。
大多和院長、治療をして頂きありがとうございました。

まとめ:歯がボロボロの治療 オールオン4 のメリット

図9:オールオン4 は重症であるほどメリットが際立つ
  • 歯がボロボロでも治療可能
  • 嚢胞などがあっても治療可能
  • 他院で断られても治療可能
  • 他院で失敗されても治療可能
  • 歯列矯正の失敗でも治療可能
  • インプラントの途中でも治療可能
  • 年齢を問わず治療可能
  • 1日で全ての歯が治療可能

オールオン4は1日で全ての歯の治療が可能です。上顎もしくは下顎だけであれば、最短1時間半ほどで治療は終わります。しかも、オールオンフォー の治療過程で顎の骨にある歯周病や嚢胞なども一掃し、衛生的な環境に整えます。従来法の治療とは一線を画すため、他院で断られたようなケースや他院で失敗されたケースでも治療可能となります。また、部分的なインプラントをしていて、違う部位のインプラントをしなくてはならないようなケースでも治療可能となります。中には、年齢を理由に歯列矯正がうまくいかずにオールオン4で治療された方もいます。

当院では、このように他院では難しい処置も行っております。
他院の治療説明を受けて、難しいと言われたケースでも当院では可能なケースも
あります。セカンドオピニオンを受ける事は選択肢を増やす上でも、とても重要な事です。まずは、ご相談だけでもされてみませんか。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「40代 歯がボロボロ インプラント の セカンドオピニオン ③」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • All-on-4 ザイゴマクリニック開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事

専門

  • All-on-4 ザイゴマインプラント専門医
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

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