安心 安全 な インプラント 治療を受けるために

安心 安全 な インプラント 治療を受けるために

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

患者さんにとっての 安心 安全 な インプラント 治療とはどういうことを意味するのでしょうか。また、安心 安全 な インプラント 治療を受けるためにはどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。

今ではなくしてしまった歯の治療法として確立しているインプラント治療。それでも、術後の有害事象や術中の偶発症の話がないわけではありません。つまりインプラント治療に関するリスクは施術者である歯科医師と施術を受けられる患者さんとで共有しなければなりません。

この記事では、安心安全なインプラント治療を受けるための知識や準備などについて記していきたいと思います。

インプラント治療とは

インプラント とは
図1:インプラントは顎骨に覆われなければならない

インプラント治療とは、歯をなくしてしまった部位に相当する顎骨にインプラント体(フィクスチャー)と呼ばれる特殊な形状のネジを埋入し、後に土台として人工歯を構成する治療です。すなわち、インプラント治療のためには、十分な顎骨が必ず必要なのです。

インプラント体は円柱(シリンダー)や円錐(コニカル)のような形状をしています。円柱型で考慮した時に、直径が 4.0mm、長径が 10mmくらいが通常のサイズです。その時に、安心・安全なインプラント治療に必要なのは、十分な幅(6.0mm以上)と高さ(12mm以上)の顎骨ということになります。

重度 の 歯周病 について

重度 の 歯周病 で 歯を残す 場合の メリット と デメリット より引用

インプラント治療と下歯槽神経

インプラントと下歯槽神経
図2:下顎のインプラント埋入は下歯槽神経の走行に注意する

下顎の奥歯のインプラント治療で必ず考慮にいれなければならないのは、下顎管の中を走行する下歯槽神経です。下顎のインプラント埋入に際し、顎骨の高さが10mm 以上あり、かつ、下歯槽神経との安全域 3〜5mmを考慮しなければなりません。

もしインプラント治療に際し、ドリリング(穴あけ)の工程やインプラントの埋入工程で下歯槽神経になんらかの刺激があると術後の有害事象として下唇とオトガイ部の知覚の麻痺や異常がおきる可能性があります(ずっと痺れているような状態)。これは、下歯槽神経の先にオトガイ神経があり下くちびる周囲の知覚をつかさどるからです。

このような術後の有害事象を未然に防ぐためにCT ( Computed-Tomography ) 画像の解析が必要となります。そして、コンピューターを用いた、インプラント埋入シミュレーションと適切なインプラント体のサイズ、および治療法や術式の選択が肝要となります。確かな手術には確かな手術計画が必要となります。

インプラント治療と舌下動脈

舌下動脈 下顎骨
図3:下顎骨の内側には舌下動脈がある(グレイの解剖学一部改変)

下顎の前歯部のインプラント治療で考慮に入れておかなければならないのは、舌下動脈の走行のことです。舌下動脈は外頸動脈の枝であり、オトガイ舌筋と顎舌骨筋の間を前方に走行しながら舌下腺にいきます。すわなち、舌下動脈は下顎骨の内側の下の部分にあるということになります。

舌下動脈を損傷してしまった場合、術後有害事象として、大量の出血があります。下顎骨の内側には 「顎下隙」「舌下隙」「オトガイ下隙」というスペースがあり、大きな血腫を作ったり、場合によっては気道閉塞になる場合があります。

インプラント治療の適切なプロトコールを理解している歯科医師であれば、インプラント埋入時に、下顎骨の内側皮質骨の固い感触で注意を払います。そのためにも必ずCT画像の解析が必要です。解剖学的形状は、患者さんが100人いたら100通りあるためです。多くの臨床経験も必要と考えます。今はパノラマX線(平面的なレントゲン)だけでインプラント治療を行う歯科医師はいないと思います。

インプラント治療と術中偶発症

術中偶発症の準備
図4:歯科治療の偶発症 準備だけは万全に

インプラント治療だけでなく歯科治療を受けられる方、皆に該当します。歯科治療は、多かれ少なかれ痛みを伴う処置があります。それに対し、局所麻酔を使用することがあります。麻酔薬に関連する合併症や、痛みからくる偶発症、基礎疾患を持っているが故に症状が出てしまったなど、可能性は非常に低いですが偶発症とは起こりうるものです。しかし、歯科医院はどのような事が起きても大丈夫なように準備をしなければなりません

それ以外にも、迷走神経反射、過換気症候、局所麻酔中毒、局所麻酔アレルギー等、留意しておかなければならない術中偶発症は多数あります。また、患者さんに基礎疾患(糖尿病、心疾患、脳卒中)の既往がある場合、歯科治療中に気分不良を訴える可能性も十分あります。

患者さん自身が基礎疾患(糖尿病、心疾患、脳卒中)を有している場合、歯科治療、特にインプラント治療や小手術(水平埋伏智歯抜歯、サイナスリフト、顎骨嚢胞摘出術、歯根端切除術、嚢胞開窓術、All-on-4 など)を受けられる場合は、口腔外科の病院でトレーニングを受けた歯科医師、もしくは救急体制の整った施設での治療が望ましいかもしれません。

まとめ: 安心 安全 インプラント

インプラント治療は非常に画期的な治療法です。その理由は失われた歯とほぼ同等の機能を回復することができるようになる治療だからです。インプラント治療は全国の歯科医院にて、欠損歯の補綴治療として今では一般的な選択肢の一つとなっています。しかしながら、条件によって簡単なケースと難しいケースがあることも事実です。

患者さんの年齢や口腔環境、骨質の状態や顎骨の形状、既往歴(心臓病、糖尿病、脳梗塞、ガンなど)、術者自信の技量も考慮して適切な治療計画を構築するすることこそが 安心 安全 な インプラント という点において非常に重要なファクターだと考えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「安心 安全 な インプラント 治療を受けるために」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • All-on-4 ザイゴマクリニック開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事

専門

  • All-on-4 ザイゴマインプラント専門医
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

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