オールオンフォー 術前術後の リスク 評価と対策

オールオンフォー 術前術後の リスク 評価と対策

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

オールオンフォー は4本のインプラントを支えに1日で歯を入れる事が可能な優れた治療です。しかもご年齢、お体の状態、お口の中の状態、これらに多少の リスク となる問題があっても手術を行う事が出来ます。

しかし、患者さんの中には「高齢だから」「糖尿病がある」と自分が手術を受けられないかもしれないと思われている方もいるかもしれません。当院ではそのような方にも安心して手術を受けて頂けるように様々な工夫を凝らしております。

今回は、当院が行っているオールオンフォーの術前術後のリスク評価と対策にスポットライトを当ててお話させて頂こうと思います。オールオン4の治療を希望しているけどと踏みとどまっているという方には是非読んで頂きたい内容です。

年齢よりも〇〇年齢を重視

オールオンフォー 年齢
図1:オールオンフォーで大事な年齢とは

ご年齢の問題で引っかかっている方は沢山いらっしゃるのではないかと思います。手術を受けたいんだけど、「インプラントは高齢だと手術が難しい、出来ない」と聞いたことがある。そのような理由から、オールオンフォーやインプラント治療を受けるのに踏みとどまっている方も少なくないのではないでしょうか。

確かに歯科医院によっては、患者さんの年齢だけで判断して手術を断られる場合もあるようです。当院の場合、患者さんの年齢は参考にはしますが、決定事項にはなりません。その理由は、年齢だけ若くて持病のある方のほうが、高齢で元気な方よりもリスクが高い事が多いからです。具体的にいうと、60代の方で若い頃からの不摂生が祟り30代の頃から血圧のお薬を複数飲み始めた方と、 現在80代の方で血圧も調子がよく、最近になって血管が硬くなってきたとのことで血圧の薬を飲み始めた方という場合です。このような場合、わたしたちは前者の方がリスクが高いと考えます。

実は大事な事は、その方の年齢よりも臓器の状態(ここでは血管の状態)が良好であることです。当院では問診時にお体について様々なエピソードを確認して、リスク評価を行っています。患者さんの中には高齢な方でも病気知らずの方は沢山いらっしゃいます。

お体の問題には10の対策を

オールオンフォー 10の対策
図2:術前術後に10の対策を実施

お体の事が理由でオールオンフォーの治療を踏みとどまっている方は大勢いらっしゃると思います。例えば「血液サラサラにするお薬を飲んでるけど大丈夫なのかな?」「不整脈と言われた事があるけど大丈夫かな?」「糖尿病の治療をしているけど大丈夫かな?」「癌の手術しているけど大丈夫かな?」などの質問をよく受けます。皆様それぞれ疑問点を多く抱いていると思います。

しかし、当院ではそのような方でも可能な限り手術を受けられるような体制を整えています。その方法が以下の10の対策となります。
①初回相談時の問診
②徹底した術前検査
③麻酔科医による診察
④かかりつけ医への対診(糖尿病や心臓病の患者など)
⑤内服薬をかかりつけ医と検討
⑥院内カンファレンスで情報共有
⑦術中の出血リスクへの対策
⑧生活習慣のコントロール(嗜好品の一時的な中断など)
⑨鼻呼吸練習をしてもらう
⑩モニタリングの徹底徹底

では、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

初回相談時の問診

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図3:初回相談時は4つの媒体のどれかを用います

①当院では現在、患者さんとわたしたちが連絡をとるために電話・メール・LINE・インスタグラムという4つの媒体を用いています。様々な媒体で患者さんから連絡をいただきます。中には今すぐに手術をして欲しいと仰る患者さんもいます。しかし、オールオンフォーの即オペの場合は自身の血液検査のデータの提出が必要であったり、当院独自の診断基準もあります。当院としても出来る限り早い段階で手術を行いたいと思いますが、お体の状態がそれを許してくれない事があります。

安全な手術を行う為には、その患者さんがもつ様々な情報を引き出さなくてはなりません。そして、患者さんのお体の状態を把握しておく事は安全な手術に繋がります。遠方の方でお体の状態を把握する必要のある患者さんには、かかりつけの病院や近医を受診していただく場合があります。

徹底した術前検査

オールオンフォー 術前検査
図4:術前検査にて歯や骨だけでなく体のこともチェック

②術前検査というと皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか。ただの手術前の検査と思われる方が多いかもしれません。確かにそのような検査項目もありますが、お体の状態を客観的に判断する検査という意味合いもあります。

問診・口腔内診査・画像検査・X線検査・バイタルチェック・血液検査等を行います。問診では初回相談時の問診と合わせてより詳細に行います。口の状態や歯の状態、骨の状態まで把握します。このデータは手術のインプラントシミュレーションにも使用していきます。さらにバイタルチェックや血液検査でお体の状態も把握してきます。例えば、これまで血圧に異常を指摘されてない患者さんでも、測定自体が数年前である場合があります。時間の経過でお体の状態はへんかしている場合もあるので、当院ではそのあたりまで検査を行います。

麻酔科医による診察

オールオンフォー 麻酔科医
図5:麻酔科医はお体のことに精通しています

③麻酔科医による診察。これは常駐する麻酔科医がいる歯科医院でしか実現不可能な事かもしれません。当院では麻酔科医が直接診察を行います。ですので、他院ではリスクがあって、それを理由に断られたという方でも手術が可能な可能性が多分にあります。麻酔科医はリスクという観点で一般の歯科医師の知らない様々な情報と経験を持っています。ですので、お口の中だけでなく、御身体の状態にも焦点を当てて診察する事が可能です。また後述するかかりつけ医との相談という点においても、聞き方を工夫して情報収集します。当院では過去に他院で手術を断られた薬剤アレルギーの強い方の手術を数例しておりますが、いずれもアレルギーの発症なく手術を終えております。

かかりつけ医への対診

オールオンフォー 対診
図6:当院から病院や診療所に治療相談をします

④当院ではかかりつけ医と相談しながら手術を決定します。患者さんの既往というものは多種多様で、癌の手術、脳梗塞、喘息、糖尿病など様々です。中には手術がすぐに出来ない場合もあります。その様な場合はかかりつけ医としっかりと相談して手術にベストなタイミングを図っていきます。

かかりつけ医とは基本的に当院の麻酔科医が手紙でやり取りをします。問診や術前検査で浮き彫りとなった問題に関して、かかりつけ医とお話を進めていくのですが、手術が迫っている時や急を要する時などは電話やFAXで問い合わせを行う場合もあります。また、血液検査の結果、かかりつけ医より患者さんに一度受診も求められる場合もあります。その場合は当院スタッフが紹介状を含め対応させていただきます。その点においても安心して頂けたらと思います。安全なオールオン4の為に、医療連携は絶対不可欠です。

内服薬をかかりつけ医と検討

オールオンフォー 投薬
図7:お薬は飲み方なども重要です

⑤常用薬のある患者さんには内服指示を検討します。この指示の仕方に関しましても当院では工夫しております。例えば心臓のご病気があって血液サラサラのお薬を内服されている患者さんに対しては、手術中の出血のリスクを減らしつつ、心臓へのダメージを最小限に抑える服用法をご提案致します。

当院での常用薬に対する内服指示は、まずかかりつけ医に相談します。かかりつけ医の承諾の下、患者さんの持病と手術のリスク、社会的背景、この3点を考慮して内服指示を検討します。手術を安全に行う上で重要なポイントになります。

院内カンファレンスで情報共有

図8:院内カンファレンスは重要

⑥当院のオールオンフォーの手術は全症例を院内カンファレンスにて術前検討しています。 院内カンファレンスを行うことで、インプラントの術式の確認や治療計画がアップデートされます。口腔外科・矯正科・麻酔科・補綴科など様々な専門家からの見解をいただきます。

また院内カンファレンスにて、手術前の患者さんの既往歴や内服薬の確認を行い、手術の術式の確認を行います。スタッフ間で情報共有する事や問題提起をする事で、ヒアリハットや医療事故を未然に防ぐ可能性が上がります。またスムーズな医療の提供が可能になります。

術中の出血リスクへの対策

オールオンフォー 出血リスク
図9:万全の体制で手術に臨みます

⑦上述した血液サラサラのお薬を飲まれている方の場合、術前にお薬を減量した場合でも、術中の出血のコントロールは少なからず難しいこともあります。しかし、当院では術中の工夫により出血も最小限に抑える事が出来ます。

例えば当院では様々な止血方法を準備しています。皆様も出血したら行うであろう圧迫して行う圧迫止血法、局所麻酔薬の止血効果に期待して行う止血法、電気の通った特殊な器具を使った止血法、止血を助けてくれるお薬を内部(点滴等)と外部(出血点に止血剤をおく処置)からの止血を促す方法等、多岐にわたる方法でしっかりと出血点を見極めて止血を行います。

また手術前のシミュレーションの段階で、出血の起きやすそうな場所は極力さけたプランニングを事前にCTの画像を用いて行っています。こうした様々な工夫が手術中の出血を最小限に抑える秘訣なのです。

生活習慣のコントロール

オールオンフォー 生活習慣
図10:手術前は生活習慣を整えましょう

⑧生活習慣をコントロールする事はオールオンフォーを成功に導く大切な要素です。生活習慣の悪化は不要に血液の流れを悪くしたり、呼吸の状態を悪くしたり、不要な反射(咳など)を誘発したり、傷の治りを悪くしたり、感染を起こしやすくしたりする可能性があります。ですので、生活習慣をコントロールする事は安全という観点や手術の成功という観点に必要な事です。

食事制限や規則正しい運動を目的もなく続けるという事は人によってはとても難しい事です。しかし、少し我慢する事でご自身を守る事に繋がり、今後の輝かしい人生に繋がると考えられた時、それは生活習慣のコントロールに繋がる可能性があります。 オールオンフォーは医院側と患者側が協力してより安全で精度の高い治療になるのです。

鼻呼吸練習をしてもらう

オールオンフォー 鼻呼吸
図11:鼻呼吸は口呼吸よりリラックス効果が強い

⑨皆様は鼻呼吸という鼻だけを用いる呼吸法をご存じでしょうか?当院へお越し頂きオールオンフォーを希望される方には、この鼻呼吸練習をしっかりと行ってもらっています。 当院にて鼻呼吸の練習法を動画で説明させていただきます。この鼻呼吸練習をしっかり行う事は手術中の呼吸状態を安定させるだけでなく、手術時間の延長の防止、誤飲誤嚥の防止、術後の吐き気の防止・・など様々なメリットがあります。また鼻呼吸自体はデメリットが少なく、円滑で安全な手術には必要だと考えられます。お手軽なのに効果が高くリスクを下げられる素晴らしい方法なのです。

モニタリングの徹底

オールオンフォー モニタリング
図12:生体管理モニターでしっかり確認します

 ⑩当院では、術前、術中、術後に生体管理モニター(血圧や心電図を診る機械)を使用して、安全性を確保します。術前では術前検査にて、患者さんの最初の状態を確認します。その後に手術に臨みますので、患者さんの状態がどう変化したのかが一目で分かります。当院では患者さんのお体を術前から血圧、脈拍、心電図また手術後は回復室でモニタリングします。これにより手術によるダメージ、麻酔薬の残存状態、術後のお体の状態を把握しています。こういった術前から術後における患者さんのお体の状態の徹底的なモニタリングが安全な手術に繋がります。
 

当院の徹底したリスクマネジメント

オールオンフォー リスクマネジメント
図13:お体のリスク評価から対策します

当院では出来る限り様々な方に手術を安全に受けて頂きたいと思っています。その為には、当院でオールオンフォーを受けたいという患者さん全員のお体の状態を管理しなくてはなりません。様々なお体の状態の方がいらっしゃいますが、上述したようなリスク評価を行う事で、情報収集と情報共有を行い対策を立てて手術を可能にする道筋を作っています。

当院では、他院にて「治療は不可能」「インプラントは難しい」と言われて来院された方でもインプラントやオールオンフォーの手術が可能です。お体の事で治療を諦めていた、糖尿病で全ての歯がぐらぐらだからインプラントでも難しいと言われた、オールオンフォーの手術を受けたいけど年齢が・・、このような方がいらっしゃいましたら、まずは当院へご相談下さい。
わたしたちはあなたの笑顔を取り戻すお手伝いが出来るかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「オールオンフォー 術前術後の リスク 評価と対策」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • All-on-4 ザイゴマクリニック開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事

専門

  • All-on-4 ザイゴマインプラント専門医
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

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