30代 や 40代 で歯がボロボロ 前歯 ぐらぐら の原因と治療法

30代 や 40代 で歯がボロボロ 前歯 ぐらぐら の原因と治療法

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

30代 や 40代 で歯がボロボロや 前歯 ぐらぐら になってしまうことはあるのでしょうか?

この記事は、
「まだ30〜50歳くらいの年齢」
「全体的に歯がボロボロで歯医者にいけない」
前歯がぐらぐら揺れている気がする」
「 全体的に歯の根っこが見えてきた 」
というような悩みの方が対象となります。

考えられる原因と治療法について少し記してみたいと思います。

原因1: 差し歯が虫歯になったのを放置

歯がぐらぐら 虫歯
図1:40代 差し歯が虫歯になって歯がボロボロに

歯科治療では虫歯になると段階に応じて神経の治療が必要となります。神経の治療後に土台を立てて被せ物をした場合、「差し歯」と呼ばれます。

差し歯は神経がないため、神経がある歯に比べて、虫歯になりやすいです。また、神経がないため痛みもなく虫歯が進みます。1、2本の歯の虫歯が進行したとしても、この多忙な現代社会なので、その状態を放置してしまう患者さんは少なくないと思います。それが多数の歯にわたると危険になっていきます。

その結果、歯根が割れたり、差し歯の土台が外れたりします。歯根が割れると、痛みや腫れが出始めます。そして、症状が進むと歯がボロボロになります。歯がボロボロとなると歯の衛生環境は悪化し、歯周病が悪化する悪循環に陥ります。すると、前歯ぐらぐらとなってしまいます。

虫歯や歯周病がある程度進んでしまう前に歯科医院への受診が必要です。虫歯も歯周病も軽度であれば、歯を保存しながら治療されます。しかしながら、かなり状態が悪化してから歯科医院を受診すると、「抜歯が必要」といわれることも少なくありません。

原因2:酸蝕症 (摂食障害の影響)

酸蝕症 嘔吐癖 摂食障害
図2:40代 摂食障害により歯がぼろぼろに

酸蝕症とは、酸性の物質を起因に歯を蝕む疾患のことです。その酸性の物質とは嘔吐時の自身の胃液によることが多いです。

摂食障害とは、ストレスを一因とする「過食症と拒食症」を意味します。現代社会では多かれ少なかれストレスと共に生活をしなくてはならないと思います。精神的に辛くて過食し過ぎてしまった場合、食事をしたくないと拒否してしまった場合、どちらでも自己誘発性嘔吐をしてしまう場合があります。

自己誘発性嘔吐の吐物は「食物」と「胃酸」となります。この胃酸はpH1.0くらいの強酸性の液体です。強酸性であるが故に、歯を溶かしてしまうのです。

もちろん、歯はエナメル質に覆われており、環境の変化に非常に強いです。2, 3回の嘔吐程度では、大きな影響はないです。しかしながら、数年に亘り何度も嘔吐をしていると、図2のように胃酸の影響で歯はボロボロになってしまいます。

原因3: 妊娠性歯周炎の影響

歯がぐらぐら 妊娠
図3:30代 妊娠出産後歯がぐらぐらに

妊娠中は “エストロゲン” や “プロゲステロン” と呼ばれるホルモンの分泌が盛んになります。このホルモンを栄養源とする歯周病細菌がいます。したがって、歯周病細菌が活発化することにより、初期症状の歯肉炎になりやすくなります。

そのため、妊娠5~20週頃から歯肉が腫れたり、出血する事があります。この時の口腔ケアが上手くいっていない場合、症状が歯周組織(歯槽骨・歯根膜・歯肉・セメント質)まで広がり、妊娠性歯周炎となります。

出産後、ホルモンのバランスが落ち着くとその症状は治りますが、そのままお口の中を不潔にしておくと、歯周炎が重症化することもあり、若くして多数の歯がぐらぐらとなってしまうこともあります。

原因4: 成人歯列矯正の副作用

成人歯列矯正 前歯グラグラ
図4:40代 歯列矯正中にセカンドオピニオンで当院に

「若い時から歯並びを直したかった」
「昔と比べて歯並びが悪くなったから」
「自分のお金で歯列矯正ができるから」
以上のような理由で、最近は30代〜50代の方でも歯列矯正治療を検討される場合があります。

しかし、成人の歯列矯正の場合、リスクがないわけではないです。加齢に伴い骨の水分が失われ硬くなりがちです。歯槽骨がしっかりしているが故に歯の動きが悪くなる方もいます。そのため、通常より強めの矯正力をかける判断をされる場合もあります。もしそれが、「過度な矯正力」となってしまった場合、歯周組織を損傷させ、急激に歯周病が進むことがあります。

図4をみてみましょう。当院にセカンドオピニオンで来られた方のパノラマレントゲンです。歯列矯正を8年されたそうですが、一向に治らないだけでなく、前歯がぐらぐらになって困っているとのことでした。歯列矯正が上手くいっていない場合、このようなことが起きていることもあります。

他にも矯正治療中に、タバコや飲酒、妊娠出産なども相性はよくないです。その辺りのコントロール不良にもかかわらず矯正治療を開始される方も多々います。他に、自己免疫疾患や骨粗鬆症のお薬を内服している場合も副作用がでても不思議ではないです。担当歯科医師としっかり話し合いをしなければなりません。

治療法1:ロングスパンブリッジ

ロングスパンブリッジ
図4:残存歯を用いて長いブリッジに

ロングスパン:長い間隔
ブリッジ:歯と歯を連結

抜くべき歯を抜歯し、どうにか使用できる歯を保存します。すると、残された歯と歯がポツンポツンとある感じイメージできますか?

その歯と歯に橋(=bridge)をかけます。これが歯列全体に渡ると、ロングスパンブリッジとなります。

残せると判断された歯を「ブリッジ」として一つの塊にします。すると、1本ずつの時よりもかなりの強度を得ることができます。ぼろぼろの見た目も改善し、ぐらぐら動揺していた歯も割としっかりします。

重度歯周病などがあった場合、形状に工夫をします。残せた歯と残せた歯の間にダミーの歯(ポンティック)が来ますが、ポンティックの下部にスーパーフロスなどが通るようにあえて清掃性がよい形状を付与します。

  • 残すことができる健康な歯が適度に必要
  • つけ外しは不要
  • 健康保険が適用される治療もある
  • 多くの歯科医院で治療が受けられる

治療法2:総入れ歯

総入れ歯
図5:全ての歯を抜いて総入れ歯に

ぐらぐら、ぼろぼろとなってしまった歯を保存できないと診断し、口腔内をよりシンプルな環境にする治療法です。ぼろぼろ・ぐらぐらの歯の一つずつは、ある一定のレベルを超えると痛くなくなります。これは、顎の骨から分離していることもあります。歯茎だけで支えている状態です。

患者さんの中には明らかにぐらぐらなので「抜歯しなくてはならない」とわかっていても、その決断ができない場合もあります。もし、痛くもないし、自分はもう少し様子を見たい場合は担当の歯科医師と話し合いましょう。無理をする治療はよくないと思います。もちろん、部分入れ歯で対応できる場合はそうするべきです。

総入れ歯は口腔内の環境をシンプルにします。取り外し型であるため、清掃性もとてもよいです。しかしながら、自身の歯を全て失います。そして、総入れ歯は、はずれやすいこともあれば、歯茎や粘膜に痛みが出てくることもしばしばあります。

  • 全ての歯の抜歯が必要
  • つけ外しが必要
  • 健康保険が適用される治療もある
  • 多くの歯科医院で治療が受けられる

総入れ歯は長期使用で痛みがでる

入れ歯 が 痛い :1日で解決する インプラント 治療 より引用

治療法3:オールオン4

オールオン4 本歯
図6:4本のインプラントで支えるオールオン4

ぐらぐら、ぼろぼろとなってしまった歯を、総入れ歯同様に保存できないと診断し、インプラントによりお口全体を治療する方法です。ぼろぼろ・ぐらぐらの歯を全部抜歯する必要があります。しかし、即日、インプラントと固定式の歯が入ります。さらに強度の強い、ザイゴマインプラントもあります。

オールオン4は歯がない代わりに、しっかりとしたインプラントの土台があります。この土台を用いて、総入れ歯のように歯と歯肉でできた上部構造をロングスパンインプラントブリッジとして支えます。

ロングスパンブリッジのように固定式となり、総入れ歯のように歯と歯肉まで設計されるのでより審美的となります。固定式であるため、歯茎や粘膜に痛みは出ないです。土台がしっかりしているため、安心してお食事ができるようになります。

  • 全ての歯の抜歯が必要
  • つけ外しは不要
  • 健康保険は適用されない
  • 治療が受けられる歯科医院はごく少数

体験談:オールオン4 の実際

私の覚悟と決断- 輝く白い歯に – オールオン4 体験談 ② より引用

オールオン4 の治療の流れを知る

ALL-ON-4 ( オールオン4 ) 治療の流れ 【実例】 より引用

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「30代 や 40代 で歯がボロボロ 前歯 ぐらぐら の原因と治療法」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • All-on-4 ザイゴマクリニック開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事

専門

  • All-on-4 ザイゴマインプラント専門医
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

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