インプラント 膿が出る腫れる…知っておきたい原因と対処法

インプラント 入れたのに膿が出る・腫れる・・・
それは何故なのでしょうか?
「せっかくインプラント治療を受けたのに、最近歯茎が腫れてきた」「膿が出たりして不安…」―そんな声をよく聞きます。
当院でもそのような症状があり相談に来られる方がいらっしゃいます。
一見成功したように見えるインプラントでも、後からトラブルが起きることがあります。
高額な治療費を払ったはずなのに、自分の歯を抜歯して決死の思いでいれたのに。にもかかわらず、膿が出たり腫れが出たりすると、手術した事が本当に良かったのか疑心暗鬼に陥られるかと思います。
そこで、この記事では、インプラント後に繰り返す腫れや膿の原因と、その対策について解説していきます。
インプラント 後に起きる「膿・腫れ」は異常?

当然ですが、正常な状態では、インプラント周囲に腫れや膿は出ません。
インプラント周囲に腫れや膿がある場合は、何かしらの異常がある事が示唆されます。
このような症状ががインプラント周囲にある場合、多くは「インプラント周囲炎」という状態を疑います。
最悪、放置すると、インプラントが抜けてしまうこともあります。
勿論、大半の場合はそうなる事は少ないのですが。
ご自身でその判断は難しいと思います。まずは対象のインプラントを埋入された病院にお問い合わせされる事をお勧めします。
インプラントが腫れる原因とは?

インプラント手術後の膿・腫れは様々な事が原因で発症しますが、全てが全てインプラント周囲炎が原因というわけではありません。下記にその主な原因について列記していきます。
1. インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)
- 歯磨きが十分でなく、食べかす等がインプラントに入り込んで炎症を発症した。
- インプラントへの歯石の沈着から細菌が繁殖して炎症を発症した。
- 歯ぐきの中に細菌が増殖して炎症を発症した。
2. 咬み合わせの不調や仮歯・本歯が割れた
- インプラントに過度な力が加わることで、周囲の骨に炎症が起きやすくなります。こういった事で炎症を発症する場合もあります。咬み合わせが原因の時は辺りを弱くする事で基本的には症状の改善につながります。仮歯や本歯が原因の場合はこういったものの修理が必要になります。
3. 不適切な埋入位置・角度・アバットメントの位置
異常
- 「ノーマル」と言っても、骨とのなじみ具合や周囲組織とのバランスが崩れていることがあります。埋入位置や角度、歯に被せる為に必要な人が帽子をかぶる時に必要な頭の部分のようなインプラントアバットメント、こういったものによってもそういった現象は起こってくる事があります。
4. 喫煙や糖尿病などの全身状態
- 血流が悪く、免疫力が低下していると感染リスクが上がります。健康な方、喫煙の暴露のない方では発症する事がないような炎症を発症する場合があります。特に喫煙はそういったリスクが高い傾向にあります。私の過去の記事でもその事について触れております。
5. 上顎洞炎(上顎のみ)
- インプラントと直接関連性のない先天性の場合のものとインプラントと何等かの関連性がある後天性の場合のものがあります。特に後者の場合ですとインプラントと上顎洞が交通している(繋がっている事)が殆どです。前者の場合でも何等かの事が発端となって、インプラント周囲に炎症が波及する事もあります。
インプラントが腫れる対策と治療法

対策と治療法に関しては様々なものがあります。
1. 専門的なクリーニング(メンテナンス)
インプラントは普通の歯とは違う為、専門的なクリーニングが必要です。
どうしても、清掃困難な場所等もありますので、専門的なクリーニングを
受ける事で予防になったり、早期発見早期治療に繋がる事があります。
また定期的に清掃を歯科衛生士より習う事でホームメンテナンスの向上が
図れます。
2. 抗生物質や消毒薬の使用
抗生物質や消毒薬を使用する事で炎症が治まる場合があります。勿論、根本
の原因がある場合は、原因を除去しないと再発のリスクはあります。急性期
ではまずは、こちらの対応を行い、一定期間様子を見る事が殆どです。
3. 場合によっては外科的処置(消炎処置や再埋入)
2のような治療を行った場合でも炎症が落ち着かなかったり、頻繁に再発
する場合には、外科的処置にて対応する場合があります。排膿(膿を出す
こと)したり、歯肉切開(歯茎を切る事)したり、インプラントを撤去し
インプラント周囲を綺麗にしたり、再埋入したりする事があります。
根本的な対応である為、症状改善が見込める事が多いです。
4. 咬合調整(咬み合わせの調整)や仮歯・本歯の
調整
咬み合わせや仮歯・本歯が原因の場合は何等かの調整が必要となります。特
に咬み合わせや割れをそのままにしておくと、せっかく入れたインプラント
に影響が及ぶ場合があります。そうならない為にも調整は必要です。
5. 禁煙や糖尿病の治療
禁煙指導や禁煙外来の受診、禁煙の習慣化、糖尿病の治療を行う事で、炎症
が起こりにくくなる可能性があります。喫煙や糖尿病は歯周病のリスクファ
クターと言われています。同じようにインプラントにおいても炎症が発症し
やすい状態となる為、こういった事は必要です。
このようにならないためにも

定期的なメンテナンスの受診(少なくとも3~6ヶ月に1回程度の検診)、正しい口腔清掃(ブラッシングとフロス・歯間ブラシの活用や専門的なクリーニング)、専門的な検査(歯科医師や歯科衛生士による専門的な検査、画像診断)が必要です。やはりインプラントを長持ちさせる為に必要な事は予防治療です。禁煙や糖尿病の治療も積極的に行う事で予防になります。
終わりに

インプラントは手術後に歯を装着したら終わりではありません。定期的なメンテナンスと早期発見・早期治療が、インプラントを長持ちさせる鍵です。「膿が出る」「腫れる」といった症状を感じたら、早めに歯科医院に相談しましょう。 当院でもこうしたノーマルインプラントの相談も受け付けております。まずはこちらの記事が「気になる」と思われましたら、当院へご相談頂ければと思います。何かお手伝い出来る事があるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「インプラント 膿が出る腫れる…知っておきたい原因と対処法」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。
本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。
著者紹介

大多和 徳人
おおたわ歯科医院
オールオン4 ザイゴマクリニック
院長 歯学博士
専門分野
重度歯周病 / ザイゴマインプラント
学歴・職歴
- 九州大学歯学部歯学科卒業
- 九州大学大学院顔面口腔外科卒
- 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
- 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
- ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設
所属学会
- 日本口腔外科学会所属 認定医
- 顎顔面インプラント学会所属
- ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
- All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
- Study Group of the Edentulous Solutions 理事
- ZAGA CENTERS所属 認定専門医
専門
- オールオンフォーザイゴマインプラント
- 九州大学総長賞受賞
(テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生) - 博士号取得
(テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生) - 国際特許取得
(主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)
※詳しいご相談はこちらのフォームから承っております。